新人社員の定着を促す!メンター制度の目的と導入効果

2019/05/22
メンター制度

2018年の厚生労働省の発表によると、新規学卒就職者の就職後3年以内の離職率は、

大卒就職者が31.8%、高卒就職者が39.3%となっています。

時間と手間をかけてようやく確保した人材の3~4割が早期に退職してしまうようでは、

採用現場の苦労は報われません。

メンター制度は、新入社員の悩み全般をバックアップしながら、

社内文化への適応を促す施策です。

ここではメンター制度の導入に向けた流れやポイントを解説していきます。

 

メンター制度とは

メンターとは英語の「Mentor」、すなわち「良き指導者」という意味です。

助言者、相談相手としてサポートする立場の人を指します。

会社で実施されるメンター制度は、上司と部下の関係ではなく、

年次が近くて客観的な視点を持つ「他部署の先輩」が担当するケースが多く見られます。

1年程度の期間を設定するのが一般的です。

業務以外の私生活を含めて、精神的支援や相談相手となる人物がメンターとなり、

サポートされる側の新入社員を「メンティー」と呼びます。

これまでも「エルダー制度」や「コーチング」はありましたが、

大きな違いはメンターは「業務に特化せず、目標達成を目的としない」ことにあります。

メンター制度を通して社会人としての成長を促し、

働くことへの不安を解消していくことで、早期離職を防止する狙いがあります。

 

メンター制度の導入の流れ

メンター制度の認知度は企業によってかなりの差があるようです。

厚生労働省では、特に女性の活躍推進に向けて

「メンター制度導入・ロールモデル普及マニュアル」を公表しています。

メンター制度について、基本的な知識が欠けている場合は、

参考にしてみるとよいでしょう。

メンター制度導入までの主な流れは以下の通りです。

1.メンター制度の設計

2.メンター制度の目的の明確化

3.メンターの選定

4.メンターの教育

5.方向性・運用方法の設定

6.メンター制度の実施

7.振り返り・検証・修正

メンター制度を導入する際は、ロールモデルを参考にしながら

「自社に合わせた設計」をしていくことが大切です。

すでにOJT制度やバディ制度、ブラザー・シスター制度などを導入している企業は、

そこから見えてきた課題を抽出し、融合型を考えてみるという方法もあります。

メンター制度は、ただ「教育係」を与えればよい、というものではありません。

人事やマネジメント上の課題をもとに「どこをゴールにするのか?」を定めておく必要があります。

それに応じてメンターの選定や教育指針も変化します。

「メンター制度の期間は?」、「どのような見守り方をするのか?」、「定型化した形でのコンタクトはあるのか?」など、

メンター自身に負担がかかり過ぎないようにルールを決めなければなりません。

振り返りや効果の検証は、メンターとメンティーだけに任せるのではなく、

会社の取り組みとして実施し、軌道修正しながらゴールを目指していく必要があります。

 

メンター制度のメリットとデメリット

メンター制度は「離職防止に効果がある」といわれていますが、

デメリットがないわけではありません。

続いては、メンター制度のメリットとデメリットについて見ていきましょう。

 

メンター制度のメリット

メンター制度を導入するメリットには、以下のようなものが挙げられます。

メンティーの精神的な安定につながる

働くビジョンを描きやすくなる

メンター社員の気づき・意識づけ

新入社員の離職防止

双方の社員の人材育成

メンター制度は、新入社員の不安を軽減して精神的な安定をもたらし、

社員としての自覚と自信を強化していく効果があります。

離職防止策として大きな役割を果たすと同時に、

メンター役の社員の成長を促すという効果もあります。

 

メンター制度のデメリット

その一方で、メンター制度には以下のようなデメリットがあると考えられます。

メンターとなる社員の負担増

上司と部下(メンティー)の関係構築の障害となる可能性

メンティーの依存心の増長

メンター役となる社員は、自身の業務を遂行しながら後輩の面倒を引き受けることになります。

メンター役の選定が適切でないと、重圧や責任を重荷に感じ、

業務に支障をきたす恐れがあります。

また、メンターに対するメンティーの信頼が厚くなりすぎると、

直属の上司との関係がうまくいかなくなったり、

依存心が増長しすぎたりする可能性があります。

 

導入企業の事例紹介

では、各企業はどのようにメンター制度を活用しているのでしょうか? 

最後に、具体的な例をいくつか紹介しておきます。

 

大手精密部品メーカー

女性を管理職に登用するに当たり、疑似体験としてメンター制度を活用。

女性としてキャリアに悩みを持つメンティーが、

メンターのアドバイスを受けながらステップアップへの意欲を養う機会にもなっています。

すでにメンター制度の活用実績は数年間にわたっていますが、

今後は全国の社員が参加するダイバーシティ研究会を活用して、

男女を問わないメンター候補の育成を検討しています。

 

大手会計事務所

メンティーと信頼関係をつくるメンタリング・スキルを、

クルーター研修およびリクルート活動にも生かしています。

新入社員に対して実施される研修にメンター制度を加えることで、

メンタル面の向上、考えるスキルの向上に大きな効果を上げています。

 

人材開発コンサルティング企業

人材開発のための施策を提供する企業として、

営業職の発想力やスキルをアップするためにメンター制度を導入。

高いコミュニケーション能力と責任の重い仕事を担っている営業職が、お互いの情報を活発に交換することで相乗効果を狙っています。

評価的な見方をしがちな職場において、メンタリングを楽しみながら自己理解へとつなげています。

 

ITシステム企業

人材の流出が激しい業界であるため、「メンターの成長」を目的にメンター制度を導入。

結果的には、新入社員の技術的成長がもたらされたほか、

社員同士の関係強化、人間的成長も促されました。

メンター、メンティーそれぞれの自主性・向上心といった姿勢が確立され、人材の定着が実現されました。

 

まとめ:新人社員定着と既存社員の気づきへの効果

メンター制度は新入社員の不安を軽減し、会社組織への適応を促します。

また、メンターとなる先輩社員には新しい「気づき」があるため、

一層の成長を促す機会にもなります。

一方で、管理側や周囲の理解が不足していたり、

メンター制度の運用方針が確立されていなかったりすると、

個々の社員にかかる負担だけが重くなってしまう可能性もあります。

導入に当たっては自社に適した制度設計を行い、

メンターに対して教育とフォローを随時提供していくことが求められます。

 

参考:

メンター制度を企業が導入する目的、メリット・デメリットとは?|ロバート・ウォルターズ

メンター制度とは何か。導入目的、社員の離職を防ぐポイントとは|TUNAG

メンター制度|BIZHINT

〔メンター制度導入の手引き〕事例にみる人材の成長と定着のポイント|LightworksBLOG

メンター制度 導入事例集|日本メンター協会

新規学卒就職者の離職状況(平成27年3月卒業者の状況)|厚生労働省

女性社員の活躍を推進するための「メンター制度導入・ロールモデル普及マニュアル」|厚生労働省

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